ワガ家の長男はこの春大学生となります。
私立大学、一人暮らし、野球部へ所属予定
バイトもそれほどできないという状況下で、
ワガ家の教育費負担が重くのしかかる…
ことが予想される状況ですが、
がしかし、
ワガ子には奨学金を取らせる予定はありません。
その理由は、
「奨学金」というのは、
学生のための支援制度という表向きを謡っていますが、
将来的に返済する義務があるのであれば、
「単なる借金」に変わりなく、
妻もワタシも奨学金を取得し、
30代半ばまで返済がありとても苦労したからです。
しかし、
最近では奨学金を取らせて大学へ行かせる割合が増えているようで、
現在の奨学金の取得率は大学(昼間の部)で
49.6%(2020年度、日本学生支援機構調べ)の
学生が奨学金を取得しているとのこと。
ちなみにワタシが学生だったころの
1996年のデータを見ると奨学金の取得率は21.2%でした。
ワタシも奨学金を取得しましたが国公立だったこともあるかも知れませんが、
ワタシの周りで取得している人は数えるほどしか見かけませんでした。
まあ確かに昔よりも学費が高くなったことが要因に上げられるかもしれませんが、
奨学金の種類も増えたことにより、
昔よりも容易に取得ができるようになり、
そのため周りで奨学金を取得する人が徐々に増え、
奨学金を取得すること自体が、
当たり前の世の中になってきたのかもしれません。
長男の野球部のチームメイトの親御さんも、
車はBMWに乗っていてそれなりに裕福そうな生活をしていると思うのですが、
それでもワガ子には奨学金を取らせて大学に行かせると言っていました。
ちょっと奨学金について調べてみました。
日本学生支援機構の奨学金というのは第1種と第2種があります。
第1種と第2種の大きな違いと言える部分が、
「利息があるかないか」です。
大学や専門学校に在籍している期間はどちらも利息はかかりませんが、
卒業と同時に第2種にだけ利息が発生します。
利息は最大で年利3%になりますが、
実際には年利0.5%~1%程度とのこと。
「奨学金」は、経済的な理由や家庭の事情で
「進学が難しい方」に向け、学費の付与や貸与を行う制度です。
現在多くの学生が奨学金制度を利用して、
高校や専門学校・大学・大学院・海外の学校に進学しています。
奨学金制度は、国や地方自治体、民間団体のほか、学校単位でも
独自の奨学金制度を設けています。
今回、奨学金のことについて色々と調べていく過程で
「奨学金、借りたら人生こうなった」
を拝読させていただき、
参考といたしましたので紹介いたします。
(書籍より引用※一部要約)
奨学金利用者の数は,1990年代後半以降に急増した。
1990年代半ばまで,奨学金利用者の比率は全大学生の20%ほどであった。
その後,2012年には全大学生の52.5%に達した。
奨学金利用者の増加は,
1990年代以降の 4 年制大学への進学率の上昇を背景としている。
女性の短大進学者が減り,高卒の就職者数も減少した。
民間企業労働者の平均年収と世帯所得は,
2000年~2010年にかけて急激に減少した。
近年の奨学金制度の変化も,奨学金をめぐる社会状況に大きな影響をもたらした。
1984年の日本育英会法の改定によって,有利子の貸与型奨学金が創設された。
有利子の貸与型奨学金の増加に拍車をかけたのが,
1999年 4 月の「きぼう21プラン」であった。
2004年に日本育英会は廃止され,日本学生支援機構への組織改編が行われた。
日本学生支援機構は、奨学金制度を「金融事業」と位置づけ、
その中身をさらに変えていった。
2000年代に突入するまでは、
高校時代の成績が第一種と第二種の審査の選考基準となっていたのだが
1999年に第二種奨学金は「きぼう21プラン奨学金」と名称が変更され、
高校時代の成績とは異なる評価基準が設けられた。
これによって、貸与人数が大幅に増え、
第二種奨学金は申請すればほとんどの確率で奨学金を借りられるようになった。
翌年の2004年には育英会を含む5つの団体が合併し、
「独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が設立される。
(とある大学関係者のコメント↓)
200~300万円の借金を抱えている学生はごろごろいる。
不景気の煽りを受けた結果、もはや教育関係者も奨学金は
完全に「借金」という認識。
「育英奨学」と表現されてきた日本の育英会の事業は、
全面的な「学生ローン」に様変わりすると表現している。
さらに、2008年11月、奨学金の延滞問題に限界が来たのか、
JASSOは個人情報機関に加盟したことで、
奨学金の申請には「個人信用情報機関の取扱いに関する同意書」が必要とされ、
つまり返済が遅れたりした場合は「ブラックリスト化」されることになった。
これによって例えば、支払いが3か月遅れると、クレジットカードの契約や
家のローンが組めなくなる可能性が出て来た。
さらに、10年度以降からは滞納が4か月以上続くと、
改修が債権回収会社に委託されるようになる。
「週刊金曜日」でジャーナリストの平舘英明は
「延滞負債の回収強化策は、担保を持たない学生から「借金」(奨学金)
を確実に取り立てるシステムの構築であり、
学生を「儲け」の対象にする新たな教育ローン市場の開拓に向けた布石ともいえる。
と指摘している。
1998年育英会予算は第一種76%、第二種が24%だったのが、
今年度(2011年度)は全く逆の24対76と証言している。
借りられる額の増加とそれに伴う卒業後の負債の大きさ、
第二種という有利子の出現。
そして延滞者への厳しい督促・・・。
以上のようなことが不景気に重なったため、
「奨学金=借りると怖いもの」というイメージの形成につながったと考えられる。
(以上、書籍からの引用はここまで)
いかがでしょうか。
奨学金の歴史を見ても、
「奨学金」はもともと経済的な理由や家庭の事情で
「進学が難しい方」に向け、
学費の付与や貸与を行う「救済的」な制度であったものが、
2000年代頃からは
申請をすれば誰でも利用できるものとなり、
日本学生支援機構は、奨学金制度を「金融事業」と位置づけ、
全面的な学生ローンへと様変わりしていったと。
また奨学金というのは
無利子の第一種と、有利子の第二種があり、
主に学生ローンとして様変わりしたのは有利子の第二種の方であり、
1996年の奨学金取得率21.2%から
2020年の奨学金取得率49.6%(2020年度、日本学生支援機構調べ)の推移のうち、
無利子の第一種は微増であるのに対し、
増えたのは有利子の第二種が大半であり、
要は「金融事業」として学生ローン市場が拡大していただけという状況である。
更に滞納すれば、
クレジットカードの契約や家のローンが組めなくなる可能性もあるなど、
もはやこれは完全な「ローン」ビジネスであり、
そんなリスクを新卒社会人のスタートとともに抱えることになることを、
まだ知る由もない右も左もわからない学生に
そのリスクを負わせるという
ある意味でかなり悪質な制度となったしまったと言わざるを得ない。
ではなぜ、
借りる側の親や学生は奨学金の取得に歯止めがかけられないの!?
というと、
人間の性として、
良いサービスやマーケティング、
そして周りもみんな借りているなどの環境が整えば、
よくよく吟味せずに簡単に手を出してしまうという結果です。
ワレワレ親世代はおそらく自分たちが学生の頃の
「奨学金」は学生のための健全の制度
というイメージが残っており(ワタシもそう思ってました)、
借りることにそれほど抵抗感がないのだろうと思います。
この30年で様変わりしたことには気が付いていない…。
・うちの家計も苦しいから大学まではやらせられない
(いや結構贅沢してますよ…)
・親が面倒みるのは高校までで大学以上は親の責任ではない
(いつの時代の話ですか…?)
・借りられるものであれば借りてほしい
(いや誰でも借りられますけど…)
っと現状はこんなところでしょうか...。